薬物事件が多発してもベルギーで自転車熱が衰えないワケ

最近こんなメールをもらう。「薬物事件が多発して、自転車への興味が薄れる」。一方で、ベルギーの自転車ファンはめちゃくちゃ熱かった。ツールがフランスのダンケルクを経てベルギーにいったとき、余りのすさまじさに息を呑んだほど。沿道の人の集まり方が違う。観衆の盛り上がり方が違う。現地で何人かの人に話を聞いたところ、彼らの熱が冷めない理由をまとめるとこうだった(以下ワレヘム・ゲントで出会った若者一団・おじさんたちの弁):
「タバコ、酒、珈琲がOKで、薬物がだめという線引きがおかしい。自己責任で摂取するんだからドーピングをしたからといって、ファンを辞めるなんてことはあり得ない」。「自転車競技の薬物事件の根は深いから、クリーンだと信じていると、しっぺ返しを食う。もともと自転車競技ではかなり早い時期から薬が使われ始めて、90年代なんかは、かなりおおっぴらだった。今は検出されない薬が出てきているから陽性が減っているだけで、実際はまだまだ氷山の一角。でも、だからと言って僕らには関係ないよ。もう長年ずっとこういう状態でやってきたんだから、ボクはドーピングなんて全く気にしないね」
ツールはベルギーステージがあったけど(ゲントゴールとワレヘムスタート)、半端じゃない熱狂振りだった。真夜中までTV中継していて、ツールのフランスステージの何十倍も熱い、そんな印象。これだけ思い入れしている背景には、こんな大胆な割り切りがあったのか、と舌を巻いた。

もりたくさんが前に少し言っていた意見って、結局ベルギー的思考なのかもしれない。ここまで割り切れればベルギー人みたいにあんなに熱くなれるというわけだ。