ラスムッセンやっぱりイタリアにいた。自転車屋のおじさんが撮影した一枚の写真

ラスムッセンがメキシコにいたと虚偽の申告をしていたとされる件については、カッサーニ元選手の証言だけだと思われていた。しかしこのほど写真という証拠もあったことが判明。

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今回ラボバンクラスムッセンをツールから締め出す措置をしたが、UCIのドーピング規則220条(PDF)に銘記されているとおり、「グランツール前の45日間に警告を受けたり薬物検査を受け損なった場合、その選手は当該グランツールに出場してはならない」。つまり本来なら彼は出場する資格がなかった。
ところがASOはラスムッセンが検査を受けずに済ませていたという事実を知らなかった。一方でラボバンクチームの方は、UCIからこれを告げられていた。それは6月29日のこと。開幕直前とはいえ彼の出場を中止する猶予はあったはず。チームは彼を何故出場させたのか?チームに非難が及んでいたが、このほどテオ・デローイ監督が言明した。
それによると、6月29日にUCIから(検査を逃れたことで)警告を受け取った監督はかなりこれを重大に受け止めた。ところが、この警告の話は機密情報で、外部に漏らしてはいけなかった。情報が漏れないようにするためには、ラスムッセンを出場させ、代わりに罰金を科すことにしたい、その旨UCIに連絡したという。むろん、この時点で、チームは彼が単に検査を逃れたということしか把握していなかった。居場所の申告が虚偽だったと知ったのはレースが開始になってからのこと。ツールが開始になり、ラスムッセンが過去2年にわたり、自分の居場所について申請を遅らせたりするなどルーズであったことが表面化した。プロトンの選手たちの間からも、これについて批判の声がかなり強まった。ラスムッセンの怪しい空白の期間が取りざたされるようになり、元選手のカッサーニが証言した:
● 彼がメキシコにいたはずの日に、自分は雨でずぶぬれになったラスムッセンをイタリアで偶然に見かけて話しかけ、「なにか必要なものがあったら言ってくれ」と会話した。

これでラスムッセンがメキシコにいたという申告が虚偽であることが判明。ラスムッセンは自分の居場所について証明をすることはせず。パスポートコピーの提出もないままツールを去った。これまで”検査受け損ない”として対処していたチームは、虚偽の申告があった事実に愕然。本人との雇用契約には、倫理規定に関する条項があり、虚偽の申告はそれに違反するということを視野に据え、チームは彼の解雇を検討し始める。そして、スポンサーであるラボバンク銀行本体の取締役会メンバーもラスムッセンの雇用解除を強く望んだ。(The bank said that its board members supported the decision to dismiss Rasmussen)
スポンサー銀行取締役会メンバー談話:「今回起ったことに言葉を失った。言葉も出てこない。悪夢だ」"What happened leaves me speechless. I am lost for words. A nightmare," (CN)

そしてこのほど新たにラスムッセンがイタリアにいた証拠がガゼッタに掲載された。ドロミテの自転車屋の店員が、ラスムッセンがメキシコにいたと申告していた日に写真を撮影していたのだった。WVC記事に写真が出ている。