シメオーニ VS アームストロング わかりにくいニュースを解説 その1

  • 今年のツールで起こったこと

今年のツール第19ステージ。シメオーニがレースの後にもみくちゃになる映像が何度も写った。アームストロングとの間でずっと続いていた冷戦が形になった瞬間だ。

その日のレース。アタックグループが前にいて、プロトンから飛び出したシメオーニがそれを追い始めた。しかし、アームストロングがそれに反応し、潰しにかかった。シメオーニはその時点で総合113位の選手。普通なら放っておく場面。結局このボスの行動で、飛び出しグループは解散した。

シメオーニは怒っていた。「僕みたいなちっぽけなライダーに構わないでくれよ。」ツールで勝てる場面をランスに潰されたと怒っていた。でも、別に彼が勝つとは決まっていなかった。前に逃げていたグループもいた。なんでシメオーニは怒っているのか?アームストロングは何故シメオーニがいうように「ちっぽけな選手」を敢えて潰したのか。

シメオーニは、雑誌のインタビューの中でイタリア選手のことも名指しで非難している。シメオーニが節操なく揉め事を起こすのに対し、グエリーニ、ナルデッロ、ポッツァート、ペロンらは、「恥だからやめろ」などと忠告。これに腹を立てたシメオーニは、名指しで全員の名前を記者に述べ、「僕の中で彼らは抹殺した」ときっぱり。

実はナルデッロとは仲がよかったという。しかし、腹を立てた相手には容赦しない。同じドミナのチッポリーニとも揉め事を起こし、チッポリーニは、<シメオーニとは一緒に走りたくない>、と監督に訴えていた。

また、自分の周囲の選手を敵と味方にはっきり分ける。こちらは彼が味方だと言っている選手たち(シメオーニのインタビューから抜粋):
ベッティーニシモーニ、バルダート、カウッキョーリは僕を支持してくれた。バルダートは、<アームストロングはルールを理解していない>と言っていて、この言葉にほっとした。」

カレラでプロ入り。夢は大きかったが、結局10年の間であげた優勝は7勝。一方で、カレラ入団前、93年のアマ時代からずっと禁止薬物を摂取していたことを告白。

02年、警察の家宅捜査を受け、出場停止にもなっている。何故手を出したのか?とうい問いに、「みんながやっているのに自分だけやらない手はなかったから」。Dr.フェラーリにも大金を払ったが、おざなりな処方しかしてもらえなかったと怒り、縁を切った。

そして、そんな彼とアームストロングの間に起こっていることは、裁判も絡んでいてやや複雑。長くなったので続きは明日。

以上Procycling 10月号 シメオーニのインタビュー記事から