ベルダ監督の事情聴取

少し前に話題になっていたベルダ監督の事情聴取の話。マンサノ事件自体の聴取ではなく、これに関連した新聞記者との揉め事で。

マンサノ・スキャンダルを最初に書きたてたAS新聞の記者、フアン・アントニオ・グティエレスがベルダ監督とマヨルカ・チャレンジでばったり会い、一触即発だったという。記者は監督から「命に関わる脅しを受けた」、と証言。そこで今回ベルダに対する聴取が行われた。

でも、あのスキャンダルを1週間にわたってA4の紙にして毎日4ページぐらいずつ報道し続けたASのやり方も結構あくどかった。ベルダやケルメを、はなから犯人と決め付けて、マンサノが自主的に薬物を摂取した部分も、「チームにそう教わったから、チームのせい」としていて、事実となすりつけ・決め付けがごちゃまぜだったし。

実際、スペインの優等生スポーツ新聞のMarcaも、あの件に関してはどちらかというと傍観者の立場をとっていた。

ASの方は裏に毎日おねえちゃんのセミヌードを掲載しており、ことさらセンセーショナルで売っている新聞。時々他の新聞が普通に書いている内容も、スキャンダルの味付けをたっぷりして掲載したりする。

他の新聞が「xx選手が病気」という記事が、ASでは「xx選手、薬物中毒」になったりするわけ。でも、刺激があって、読者に受けるように書く点では、Marcaより上だろう。

でもターゲットにされた人は散々だ。記者は、命に関わるぐらいの脅しを受けた、と言っているが、あれで命に関わるぐらいの危機に陥ったのは、ベルダ監督の方だったろう。実際彼は、その後暫く精神的に落ち込んで、いろいろあったらしい。

新聞・雑誌などの媒体は、ペンで人をやっつけることができる。実際カモになった人が言っていた。「ペンの暴力は実際の暴力より時としてきつい」と。

フアン・アントニオ・グティエレスという記者は、ヴエルタの時など、ファンと交信するなど結構親しみやすいことで知られている。でもペンの恐ろしさをどの程度自覚していたものか。

で、彼が実際にベルダから受けたという命に関わる脅しの内容を見てみた。ベルダ監督が、記者の前を通る通った時に、「お前は死んだ」と言い、頭にピストルをつきつける格好をしたとか。これはそばにいたレキップ紙の記者の証言。

両者の間には、かなりの緊張が走ったという。でも、書いた記者がペンの怖さを知っていれば、あれほどまでの内容を書いたのだから、このぐらいの仕打ちをされることぐらい、推測がつくのではないか、という気もする。